恋する心は“あなた”限定
理緒を見ると、私の席に座っている女の子に向けて、かなり不機嫌そうな顔をしながら視線を飛ばしている。
「ご…ごめんね包海さん!」
女の子は気まずそうに席から立ち上がると、自分の席へと戻っていってしまった。
この雰囲気で座るのは…私も気まずい…。
…とは言え、座らないわけにもいかず、静かに腰をおろした。
取り囲んでいた女の子たちも、いつもより不機嫌そうな理緒を察したのか、それぞれの席へと戻っていく。
女の子たちの邪魔しちゃった…。
しかも、理緒に女の子たちの前でハッキリと名前を呼ばれちゃったから、みんな“どうして?”って不審に思ったかもしれない…。
私…席に来ないで、保健室にそのまま行けば良かったかな…。