恋する心は“あなた”限定

席が決まり、みんな荷物を持って移動し始める。


理緒も渋々そうな顔をしながら立ち上がった。


「席、離れちまったな。」

「うん…。あ…、今までありがとう…。隣の席になれて良かった…。」


「…何だよそれ。席が離れても俺たちが別れるわけじゃねぇだろ?」


誰にも気付かれないように、理緒は私の髪をクシャッとさせるとフッと笑った。

胸の奥がキュンと熱くなる。


席替えなんて…このままなければいいのに…。



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