恋する心は“あなた”限定
「理緒のこと…よろしくね。」
耳元で囁くと、前澤君は直ぐに体を離した。
「よ…よろしくって…」
何だか、その言葉に照れてしまい、ますます顔が赤くなっていく。
「見捨てないでやってね。」
「えっ…!どちらかというと見捨てられるとしたら、私の方だと思うから…。」
アタフタしながら言うと、前澤君は笑いをこらえているようだ。
「本当に由優ちゃんって可愛いな。彼氏の理緒がマジで羨ましいよ…。じゃあ、俺帰るね。また明日!」
前澤君は手を振ると、そのまま振り向くことなく走っていった。