恋する心は“あなた”限定

「理緒のこと…よろしくね。」


耳元で囁くと、前澤君は直ぐに体を離した。


「よ…よろしくって…」


何だか、その言葉に照れてしまい、ますます顔が赤くなっていく。


「見捨てないでやってね。」


「えっ…!どちらかというと見捨てられるとしたら、私の方だと思うから…。」

アタフタしながら言うと、前澤君は笑いをこらえているようだ。


「本当に由優ちゃんって可愛いな。彼氏の理緒がマジで羨ましいよ…。じゃあ、俺帰るね。また明日!」


前澤君は手を振ると、そのまま振り向くことなく走っていった。



< 356 / 420 >

この作品をシェア

pagetop