恋する心は“あなた”限定
「え?」
俺の席の周りにいた、一人の茶髪の女が放った言葉に、ついついビックリしながら声を出してまった。
その反応が意外だったのか、衝撃だったのか、周りの女子は途端に甲高い声を出し始める。
「うそっ…、理緒君…本当に包海さんを見てたの!?」
「たまたま見ていた視線の先に包海さんがいただけだよね…?」
次々と周りから言葉が飛んできて、あまりの騒がしさに耳でも塞ごうかと思った時…
俺のすぐ横に立っていた背の高いメガネを掛けた女が、何かを思い出したかのような顔つきをしながら、口を開いた。
「包海さんって言えばさぁ、ついこの前、校舎を出たところで男の子に抱きしめられてたらしいよ?」