恋する心は“あなた”限定
「確かに由優ちゃんのこと、抱きしめたよ?」
その言葉に何やら分からない苛立ちが胸に燻る。
俺は手をギュッと握りしめ、拳を作っていた。
「でも、ほんの一瞬だけだよ。キッパリ諦めようと思って、最後に思わず抱きしめたんだ…。由優ちゃんには、その時にフラれたし。」
「は…?」
続けられた言葉は、全く予想してなかっただけに、思わず変な声が出てしまった。
俺が間抜けな顔をしていたのか、瞬太はプッと吹き出すように笑った。