恋する心は“あなた”限定
「そうだったのか…。わ…悪かったな。急に呼び出したりして…。」
髪をクシャクシャと掻いた俺は、少し赤くなっている顔を見られたくなくて、瞬太に背を向けた。
「別にいいよ。それより、由優ちゃんのこと…大切にしろよ?誰かに奪われたりしないようにさ…。」
「…もちろん、アイツの全てを大切にする…。」
勢いあまって、俺は少し赤くなった顔のまま振り向くと、瞬太に、ニヤリと笑みを浮かべられた。
「女子にはクールな態度しかとらない理緒が、由優ちゃんのことになると、まるで違うんだな。そんなに照れるお前、初めて見たよ。」
ますます顔が熱くなる俺に、瞬太は“お先に〜!”と言って、空き教室をスタスタと出て行った。