恋する心は“あなた”限定
「これ……もしかして、俺に…?」
理緒は、紙袋の中からバースデーカードをゆっくり取り出すと、しゃがんだまま、そのカードを見つめている。
バースデーカードは雨に濡れて字が滲んでいた。
こんなの……
プレゼントでも何でもないよね…。
「これは……何でもないの!気にしないで…?ごめんね、拾わせたりして…。」
私は理緒の手からお菓子の入った紙袋とバースデーカードを強引に取ると、胸元に抱えこんだ。
「傘、ありがとう…。それじゃあ…帰るね…。」
しゃがんでいる理緒の横に傘を置いて、帰ろうと歩き始めたけど……
すぐに後ろから理緒に抱きしめられた。