スーパーマン

俺の視線に気づいたのか、鈴と目があった。


慌てて目をそらす。


胸がドキドキと脈をうつ。


さっきまではなるべく歌に集中して、色んな方向を向いていた。


しかし、今はそれができない。


全神経が鈴にむいていた。



できれば、鈴にはコンサートに来て欲しくなかった。


せっかくきてくれた鈴には悪いが、普段と同じように歌えなくなってしまう。



それに――、


実感したくなかった。


鈴も他の女と同じだということを。


< 90 / 252 >

この作品をシェア

pagetop