スーパーマン


――もし、この時。


もうちょっと早く教室に戻っていれば、


廉のことを諦めていたら、


こんな思いしなかったかもしれない。――




屋上の扉が乱暴に開けられた。


そして扉の向こうにいたのは…、


『廉…。』


独り言のように呟く。


ずっと、待っていて、


会いたくって
会いたくって


仕方のなかった人。



「よぅ。」


廉がそっけなく左手をあげる。


あたしも同調するかのように左手をあげた。



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