白の世界~last love~
2人は似すぎている。
似なくていいところまで。
「隼…人…」
彼の名前を呟いてみる。
するとみるみる涙が止まらなくなっていった。
ねぇ隼人?
これはなんかの意地悪?
あたし隼人になんかしたかなぁ…。
全然覚えない…わけじゃないけど。
隼人に対しての口も悪かったし。
お昼のプリン奪ったことだってある。
そんな小さなことでこんなに大きな仕返し…普通する?
それともみんなに冷たくあたってるから?
朝の検温サボってるから?
ねぇ教えてよ…隼人…
どうして今更姿変えて会いに来たみたいになってんの…
隼人…
いろんな想いが頭をよぎる。
今まで溜めてきたいろんな想いが溢れだす。
だけど…
もうそろそろ泣きやまなくちゃなぁ。
都筑健帰ってくるだろうし。
泣き顔見られんのなんて御免だし。
はぁ…。
あたしは泣きやんだ顔をあげて部屋にある窓へと向かった。
ガラッ…と音を立てて部屋の中に新しい空気が入る。
気持ちいい…
青く澄んだ空を見てたらまた頬に一筋の涙が流れた。
それと同時に病室のドアが開く音がした。
あっ…ヤバ。
涙を拭こうとした時に都筑健と目があった。
「大丈夫!?どっか痛いところでもあんの?」
そういいながらこっちに走り寄ってきた。
「…平気」
そう言いながら着ていた服で涙を拭った。
一番見られたくないところみられたかも…。
「いやいや平気じゃないでしょ!」
と言って自分のベッドの横にあったタオルを持ってきて差し出してきた。
「これ使って!」
すごい心配そうに言ってるし…。
なんでもないって言ってんのにちょっとしつこいかも。
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