白の世界~last love~
「ねー都筑健ってなんで入院してるの?」
「さぁねぇ」
「教えてよっ」
「本人から聞きなさい!」
…また怒られた。
あれから少し都筑健と気まずいあたし…。
まぁあたしだけなんだけどね。
都筑健は普通に話しかけてくるし、いきなり目も合わせなくなったあたしをおかしく思ってるみたいだった。
ひとりで気にしてて馬鹿みたいだったけど、もうあの笑顔は見たくなかった。
だからあたしは本人に聞くのはやめて鈴原さんに聞こうと思ったのだ。
あと、病室だとあいつが来たときに困るから屋上で。
でも…プライバシーがどうとかで教えてくれなかった。
…ケチ
「今ケチとか思ったでしょ?」
…ギクッ
「や…思ってないよ?」
「付き合い長いんだから。そんぐらい分かるわよ」
「すんませんでした…」
「よろしい。」
やっぱりこの人は侮れないな…。
「で?」
「はい?」
いきなり質問されても何を聞いてるのかさっぱり分かんなかった。
「だから。なんで知りたいの?」
「…いろいろ」
「いろいろで人の中に踏み込んで行くんじゃないっつーの」
…いろいろじゃないよ?
あたしもちゃんと考えてる。
人の中にズカズカ足を踏み入れるのはいけないことだって一番分かってるのはあたしだし。
でも、あの表情が気になる。
なにか悲しいことを隠そうとしてる表情…。
…あーなんで気づいちゃったんだろ。
気にしても無視しとけばいいのにさぁ…。
ダメだ、気になる。
隼人と同じだからかなぁ…?
隼人も時々あの表情をしてきた気がするんだよなぁ…最後のほう。
でも、隼人のときとは何かが違う気がするんだよな…。
気持ちの問題か…?
でもドキドキもしないし、ただ居心地がいいだけだしなぁ…。
んー…わっかんなーい!!
でも、恋じゃないといいって思ってる自分がいる…。
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