白の世界~last love~
かっこよくいうと。
恋愛なんて好きになったほうが負けっていう言葉を聞いたことがある。
確かにその通りかも。
恋をして相手がいなくなっても思い続けるのは結局好きになったほうなんだ。
あいつに彼女がいる。
そんなあいつを好きになってしまったあたし。
…ほら?
どうしてもあたしの恋は叶わないよね…?
はぁ…。
恋なんて当分…ていうかもうしないと思ってた。
でもその意思はたった2年で破られた。
意思…弱っ。
でも生きていればだれかを必ず好きになるって本に書いてあった。
そんなわけないって思ってたのになぁ…。
これからあいつとは別の部屋になる。
それって考えたら唯一の接点を失うってこと?
そんなの悲しすぎるよ…。
良く考えたらまだ2回しか謝ってない。
何回も…謝れるだけ謝ろう。
許してもらえるなんて思ってない。
でも…好きだから。
頑張れるかも?
そこは分からないから疑問形にしておくけど。
「よしっ!」
勢いをつけて屋上のドアを開けた。
彼のもとへ行くために。
「あ……」
「あ…」
…ドアの向こうには彼がいた。
「何してんの~?」
そしてその彼の向こうには彼女がいたんだ。
どうしよう…。
勢いをつけたはいい。
でも、少し早すぎやしない??
もう少し心の準備がしたかったのに…。
いきなりすぎて言葉が見つからない。
自然と俯いてしまった。
すると彼はあたしの存在を無視するかのように隣を通り抜けて行った。
風があたしの髪を撫でる。
それは気持ちのいいものではなくとても…悲しいものだった。
「早く来いよ」
あたしのことなんてまるで見えてないようにあたしを挟んで向こう側にいる彼女に向かって言った。
「あ…うん」
少し気まずそうにしながらもあたしの横を小走りで抜けて行った。
また、あたしの横を風が抜けて行った。
後ろから彼の足音が聞こえる。
だんだん小さくなりなる足音を聞いているのが怖くなった。
消えていく気配。
< 24 / 28 >

この作品をシェア

pagetop