私こそ光る☆君 ~エレジー編~
プロローグ
はじまりの朝
――チュン、チュン、チュン。
「んー、よく寝た~」
花誘う春。
パステルカラーの空に鮮やかに響く鳥の愛らしい声で気持ちよく目覚めた私は、ベッドの上で大きく伸びをした。
窓辺に立ち、カーテンを開けると5羽の雀が連れ立って飛んでいくのが見える。
楽しそうに先頭を翔(と)ぶ1羽。
それを慌てたように追う2羽。
そのさらに後ろから、前の3羽の様子を見守るように翔ぶ1羽。
最後尾をまだ眠いといった様子でマイペースに翔ぶ1羽。
春の柔らかな陽射しの中、何気ない日常の光景がひどく幸せで満ち足りたものに思えて、頬を弛める。
長い冬の間、ぐずぐずとした朝を過ごしていたため、こんなに気持ちよく目覚めたのは久しぶりだ。
「今日は何かいいことありそう」
なにも根拠はないけれど、何となくそう独りごちる。
後にして思えば、この一言こそその後の出来事の予兆だった。
けれどこの時の私は、それを知る由もない。
平和を絵に描いたような朝。
この朝が全てのはじまりになるなんて、思ってもみなかった。
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