私こそ光る☆君 ~エレジー編~
ドッキリ☆デート with 紫水
「お迎えにあがりました」
朝8時。
琴月家の真ん前に横付けにされたピカピカの黒のリムジン。
乗り込むと当然のことながら、紫水がいた。
彼はジンジャーエールを注いだグラスを手に持ち、もの憂げにゆらゆらと水面を揺らしている。
「やあ」
リムジンに乗り込んだ私と目が合うとにこりと微笑んだ。
寝起きなのか、少し声がかすれている。
『お、おはよう……』
「どうしたの?」
『なんでウチが分かったの?』
「言っただろ?
調べたって」
クスクスと可笑しそうに笑う。
調べたってまさか家族のことも……?
いや、まだバレたと決まったわけじゃない。
隠し通さないと……。
『きょ、今日はどこに連れて行ってくれるの?』
「行けば分かるさ」
この人は底が知れない。
紫水は不敵な笑みを浮かべて窓の外を眺めていた。