私こそ光る☆君 ~エレジー編~
「ふ~ん、指導ね?

私にはそんなふうには見えなかったけれど……。

まあいいわ。

それにしてもあなたずいぶんお人良しなのね?

まだデビューして2年目でしょう?

私はその頃は他人になんて目もくれずに、暇さえあれば自分の芸を磨いてたわ。

いくら芸暦があっても所詮、この業界は実力社会。

より芸が優れたものだけが生き残れるのよ。

上に立つものを蹴落としていくくらいの覚悟がなきゃ、すぐに追い越されてしまう。

そうじゃなくて?」


まさに女王の貫禄だった。

これにたかだか芸暦2年の若造が太刀打ちできるはずがない。


「は、はい、その通りでございます。

まことに勝手ながら、自分は失礼させていただきます」


そう言って、逃げ帰っていった。



「で、あなたはいったい何をしたの?」


女王『清川さくら(キヨカワ サクラ)』こと、私のおばあちゃんが私のほうに向きなおり、言う。


「何もしてないよ、あの人がいきなりノックもせずに勝手にズカズカ入り込んできて、一人でキレてただけ。

おば、さ、さくらさんの方こそ、どうしてこんなところにいるの?」


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