PRAY MACENARY
男は、そうか、と呟いた後、手招きをして佐良に背を向け大型のトレーラーへ歩き始めた。

佐良は小走りで駆け寄り、男と並んで歩き始める。

「俺はここの整備士長をやってる飯倉 貞治(いいくら ていじ)だ。

ここの奴等からはオヤジだのダディだの呼ばれている。好きに呼べや。」

「はあ」と相づちを打つ佐良に引き連れ、飯倉はシートの外された荷台に登る。

荷台の上にあるのは、一機のAM。

機体には灰色のカラーリングはが施してあり、全体的に各部が四角いゴツゴツとした武骨なパーツで構成されていながらも、どこかスマートなシルエットを持っている。

「狼牙か。」

飯倉が発したのは狼牙という名前。

それはこちら側に所属する軍や傭兵の間で現在、広く使われている量産機の名称である。

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