PRAY MACENARY
「…申し訳ありません。

シバ大尉、私には大尉の仰りたい意味が理解しかねます。」

件のパイロットは優秀ではない、しかし下等でもない。

どういうことか部下の軍人には意味が計りかねていた。

「すまんな、言が曲解だった。
私はこのパイロットが異常だと言いたかったのだ。

優秀などではなくな。」

「優秀ではなく異常、でありますか?」

部下の顔はまだ意を得ていない。上司が何を言わんとするのかが見えていなかった。

「軍曹、気づかないか?

このパイロットは四方からの銃弾を易々とかわしているのだよ。」

「それは優秀ではないのですか?」

「否。
言い方を変えれば優秀すぎるのだ。不自然な程にね。

四方を囲まれた状態、そんな中では敵機を確認できるのは二方、せいぜい三方だ。

そこには必ず視覚的に無防備な死角が生まれる。

だが、このパイロットは死角からの銃弾にも反応し、完璧に対処している。」
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