PRAY MACENARY
「アレが使えなかったら、帰ってこれるか分かりませんから。」

佐良は少し自重気味に笑う。

そして着ていたライダースジャケットを傍らに脱ぎ捨て、パンツのベルトも緩めていく。

「……ホントに用意がいいな。お前。」

先程まではいていたパンツも脱ぎ捨てられると、そこには黒のパイロットスーツに身を包んだ佐良がパイロットスーツと同色の薄い手袋を填めていた。

「なんとなく…着といた方がいい気がしたから。」

佐良は整備士達が機体から離れ始めたのを確認すると、コクピットに向かい歩を進めた。

「コクピットにココの管制直通の通信機を付けた。

指示はそっから聞いてくれ。」

飯倉は一度そこで言葉を区切った。

「機体が直せるウチに帰ってこいよ。」

そう言って飯倉は荷台から降り、佐良は了解を示すように片手を挙げ、コクピットに乗り込んだ。
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