PRAY MACENARY
「長生き…か、ミクロンの僕には中々…縁遠い言葉と思ってました。」

佐良は少し寂しそうに笑った。


「さ~ら~。な~に辛気臭いこと言ってんだ。

帰るぞ。」

そう言い残し舩坂機はジャンプして空に上がった。

「ここのパイロットは皆、ミクロンだよ。

舩坂は20代後半だそうだ。自称だがな。

あまり悲観しない方がいい。」

白井はそう言い残し、舩坂の後を追って跳んだ。


戦争中期、体格や筋力の遺伝子レベルからの強化を目的として軍用クローンが製造された。

しかし、その意に反し、一割程度の割合で身長も筋力も通常、もしくはそれ以下の者達が生まれはじめる。

彼らはミクロンと呼ばれた。

ミクロン、それは「MISS CREATED CLONE」の略称。失敗作、それが彼らに付けられたラベルである。
彼らが失敗作と呼ばれる由縁がある。

一つは彼らは10代半ばで身心ともに成長が止まっていた。

もう一つ、ミクロンは総じて短命であった。戦死、病死、死因は様々だが…彼らの中で30年生きる者は少ない。
< 23 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop