PRAY MACENARY
「運転席に。」

佐良が格納庫から出ると霧野が大型トレーラーの助手席に軽やかに乗り込んでいた。

このトレーラーは佐良がバラックに来た際に狼牙改を運んでいたものと同型のものだ、が荷台には何も乗っていない。

運転席に佐良を乗らせたことから霧野の用事とは佐良にこの大型トレーラーを運転させ、どこかに行くのだろう。

「どこに向かえばいいですか?」
佐良はそう言いながらエンジンをかける。

「とりあえず、ここを出て真っ直ぐ。

道はその都度、教えるから。」

悪いわね。と霧野は煙草に火をつけた。

閉めきられた車内を霞がけるように煙が広がる。

「AMでも取りに行くんですか?」

「ええ、明日入る新人のね。

新鋭機らしいわ。

だから人目につかないように、夜中に…ってわけ。」

煩わしそうに吐き出された煙は閉ざされた空間に蔓延し始め、霧野は窓を開けた。
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