PRAY MACENARY

紫煙を静かに吐き出す霧野の表情はいつもと変わらない。

「どうして…そこまで戦場にこだわるんですか？

ミクロンだからって…。

普通に暮らしているミクロンだっているのに。」

佐良も霧野も、バラックのパイロットは皆、ミクロンである。

戦闘用に遺伝子レベルで強靭な筋力や体格を調整することを目的にした軍用クローン。

ミクロンはその軍用クローンの失敗作というレッテルを貼られてはいるが、あくまで戦闘用ひいては歩兵としての戦闘能力を見た場合の失敗作である。

成長の止まった身心を除けば普通の人間、クローンと全く変わらない。

ミクロンの過半数はAMのパイロットとして戦場にいるが戦闘とは全く関係無い生活を送る者も少なくない。


霧野は紫煙に少し曇った視界に何かを見るようにゆっくりと前方を見つめると口を開いた。