PRAY MACENARY
「なかなか、良いようね。時生の評価は。」
霧野は白井から弥羽の今回の出撃に関する戦闘データを白井から受け取るとデータの詳細に目を通し始めた。
「珍しいな。
霧野が戦闘中の味方パイロットの戦闘データを取ってこいだなんて。」
パイロットスーツのまま、霧野のデスクの真正面にある椅子に座る白井は懐から煙草を一本取り出すと、許可を求めるように、霧野を見る。
「少し…気になることがあってね。」
そう言いながら、霧野は綺麗に洗われた小振りな灰皿を白井に放った。
「気になること…か…。
俺も船坂もパイロットとしての彼女の能力は評価している。
が、それと同時にどこか違和感のようなモノを感じている。」
原因はなんなのかは分からないが…。と白井は静かに煙草に火を着け、ゆっくりと霧野に視線を移した。
「霧野は…何か知っているんじゃないか…?」
白井の視線を確りと受け止めながらも霧野は口を開かない。
その口は開けないのではない。
あくまで自らの意思で開かれない。