PRAY MACENARY
バラックの社屋は二階建てで、佐良がいたのは二階の中央にあたる。佐良はそこから階段を降り、玄関先で空を仰いでいた。
空にはたった今、出撃した二機のAMが地上に大きな人型の影を落としながら駆けている。
AM(ARMORED MOVER)
その多くは全長5~8mの人型を模して造られる汎用性に富む、現在の戦争での主力兵器である。
「おい、ボウズ。」
玄関を出た先、トレーラーの脇には荷台から積み荷を下ろすため、シートを外している数人の男達がいる。
オイルで汚れたツナギ姿という恰好から見ればAMの整備士達だろう。
その中の一人、大柄のアゴヒゲを蓄えた男が佐良に近づいてきた。
「ボウズ、ボウズが新しいパイロットのサラってのか?」
180cm近い身長を持つ男を160cm程しかない佐良は自然見上げる形になる。
「ええ、僕が佐良、佐良 秀司です。」