花の咲く頃に



彼は30分くらい外を眺めて、私の方に振り向いた。


「ありがとう。帰るね」



人と二人きりなんて状況に慣れていない私には、そろそろ限界が来ていた。

でも自分で『居てもいい』と言ってしまった手前、何も言い出せずにいた。


正直彼の言葉に助けられた。



「うん…」

「邪魔してごめんね」

「ううん…」

「じゃあね」



帰ってしまう。

きっと彼は二度とここには来ない。


黙って行かせてしまってもいいの?

後悔しない?



「あ、あの……」





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