花の咲く頃に
そう言ったのは私の口ではない。
彼だった。
「何?」
「また、来てもいいかな……。君の居る時に」
私の居る時に?
私が居たほうがいいって事?
「……うん」
「良かった。じゃあまた明日来るね」
「うん…」
私なんかと居て何かいい事でもあった?
分からない……。
変わった人。
「名前は?」
「え?」
「君の名前」
「滝沢美桜(タキザワミオ)。あたなは?」
「僕?僕は……」
彼は一度天井を仰ぎ、窓のほうに振り返った。
「僕は、日向(ヒュウガ)アオイ」
「アオイくん…」
「アオイでいいよ。ミオ」
「アオイ」
それが彼との初めての出会い。