花の咲く頃に
彼の正体
夜の図書館へ行くと、入口の鍵は本当に開いていた。
彼が来ているという証拠。
昼間彼が帰ったあと、私は悩んだ。
彼の正体……。
『正体』とはどういう事なのだろう。
あのサングラスの中には何が隠れているのか…。
でもそれは、知ってはいけない事の様な気がしてならなかった。
『もう美桜とは会わない』
その言葉が心に引っ掛かっているのも確かだった。
私は今日彼と会話をして、久しぶりに心が弾んだ。
その時間を手放したくないと思った。