花の咲く頃に



電気の点けられていない図書館で、月明かりを頼りに奥へと進んだ。



いつもの場所に着くと、彼もいつもの様に窓からひまわりを眺めていた。


ひまわりも月明かりに照らされていた。



「やっぱりひまわりは昼間に見たほうが感動するね」


彼はひまわりに顔を向けたままそう言った。

それが独り言ではなく、私に話し掛けている事なんだとはなんとなく分かった。



「アオイ……」


「美桜。来ちゃったんだね」


彼の顔が少しだけ振り向く。

横顔とまではいかない程度に。


耳にはサングラスは掛けられていなかった。





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