花の咲く頃に
彼は私の頭をぽんぽんっと叩いた。
「ありがとう」
「帰る気になった?」
「なった」
良かった。
帰ってしまうのは寂しいけれど、それが一番いい事なんだ。
「でも……」
でも?
「今すぐは帰れない」
「…そんなっ」
「急には研究員の人たちに迷惑かけるし。それに、美桜ともう少し一緒にいたいんだ」
それは嬉しいし、私だってそうは思うけど……。
「でも…」
「大丈夫。あと6日もある」
本当に大丈夫なんだろうか。
少し不安。