花の咲く頃に



一緒に行く

そう言おうとしたら、突然身体を離された。


彼は私の肩を掴んで、うな垂れる。


「ごめん。今の嘘。一緒に来たら駄目だよ」

「……訳分かんない」


一緒に行こうって言ったり、来たら駄目って言ったり。


私は一緒行ってもいいと思ったのに。


「ごめん。忘れて……」

「忘れない」


顔を上げた彼は困惑した顔だった。



「アオイの事は何ひとつ忘れたくない」





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