花の咲く頃に



そんな私を見て、彼は慌てた。


「え?違った?」



どうやら瞳を覗き込むべく顔を近付けた私は、キスをせがんだ様に彼には写ったらしい。



「いいけど……」

びっくりした心臓を落ち着かせる為に、一度彼から離れる。



そして再び彼の目を見ると、いつもの色をしていた。


さっきのは気のせい?



私はあまり気にせずにいた。



「また明日。お休み」

「お休みなさい」




その事の重大さに気付かずに。





< 60 / 88 >

この作品をシェア

pagetop