花の咲く頃に
お父さんの手が私の頭を撫でる。
「彼からお前に伝言だ」
今日は蝉の泣く声すら聞こえない、穏やかな夜だった。
「約束守れなくてごめん。必ずもう一度会おう」
一度引きかけた涙が再び溢れ出す。
必ずもう一度会おう。
あなたにはもう二度と会えないけれど。
来世で必ず……。
だから遠い遥か彼方の星で、生きて。
私もあなたの事を忘れずに、強く生きるから。
私はお父さんの胸を借りて泣いた。
私が泣いている間、お父さんは黙って背中を擦ってくれていた。