花の咲く頃に
「少し話そうか」
お父さんがそう言うので、私たちは図書館の入口の前に並んで座った。
「その鍵。私が彼の為に作ったんだ」
え?
「私はきっと、彼と一番話をした」
そうなんだ……。
「彼はここへ来た当初は凄く冷たい目をした子だった」
『死んでもいいと思ってこの星に来たんだ』
そんな彼の言葉を思い出す。
「研究室からも遠くにひまわりが見えてね。彼の表情が緩んだのはひまわりが見えた時が初めてだったな」