花の咲く頃に
「私も彼にひまわり畑を見せてやりたいと思っていた。楽しかったか?」
「うん……」
彼との最後の思い出になってしまったけれど。
彼の喜んだ顔が見れたのは良かった。
「鍵の話だったな」
それてしまった話を元に戻す。
「彼は夜、たまたま鍵をかけ忘れていた図書館に入ったんだ。
そこでひまわりが良く見える場所を見つけたらしい。
珍しく喜んだ顔をしていたから、合鍵を作ってやったんだ」
「お父さんもやるね」
「まあな」
お父さんは照れた顔で頭の後ろを掻いた。