花の咲く頃に



一年半が経った今もお母さんは帰って来ない。

どこで何をしているかさえ、分からない。


今はもう、元気でいてさえくれればそれでいい。

そう思う。




春の街にはさくらの花が咲き乱れている。


今日は私の誕生日。

18歳。


あの頃の彼と同じ歳になった。



さくら並木を抜けて高校へ行けば、いつもと変わらぬ今日が始まる。


授業を受けて、友達と無駄話をして。

なんのへんてつもない日々だけれど、充実した毎日だった。





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