花の咲く頃に
「あ。人……」
彼は私を見てそう言った。
サングラスでこちらから彼の目は見えないのだけれど。
「この場所に何か用ですか?」
ここは私の場所。
出来れば早くどこかに行って欲しい。
「ひまわりが見えるから……」
「ひまわり?」
立ち上がり窓を覗くと、確かに庭の花壇に沢山のひまわりが咲いていた。
「だから何?ひまわりが見たいならここからじゃなくても見えるでしょ?」
わざわざこんな小さな窓から覗き込まなくたって。
ひまわりが好きなら外で真ん前から見たらいい。