花の咲く頃に



机と椅子の間をすり抜け、窓に張り付いた。



嘘……。どうして……。



振り替えって今度は廊下に向かった。



「滝沢、どこ行くんだー」

「すみませんっ。トイレ!」


私は明らかな嘘をついて廊下に飛び出た。




さくら満開の校庭の真ん中にいた。


金より薄い色の髪。

その辺の女の子よりも白い肌。


違っていたのは、

全身を黒い服で覆っていない事。

大きなサングラスもしていなかった。



だけど一目で分かる。


あれは、アオイだ。





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