花の咲く頃に
階段を一気に駆け降り、下駄箱を走り抜ける。
目の前の校庭にはぽつんと立つ人影が一つ。
「美桜……」
金の瞳が私を捉える。
「アオイ……」
一年半前と変わらない笑顔にホッとする。
一歩ずつ、少しずつ、彼に近付いて行く。
彼はその場で私の事を見守る。
ワクチンが出来たというニュースが流れたのが半年前。
ギリギリの状態で星に帰った彼。
向こうに戻ったら大丈夫だと信じていた。
それでも心配な心は消えなかった。
ワクチンが彼のもとにも届いていて欲しいと願っていた。