僕ときみの秘密な隠れ家
飼い猫
「リン、」
そっと優しく、
できるだけ怖がらせないように
リンの手に触れる。
びくっと体が動いた。
「リン、怖がらないで
何があったかは知らないけど
家に帰りたくないなら
ここに住みなよ。
リンの隠れ家にすればいい」
「…隠れ家?」
少し顔を上げたリン
「そう隠れ家。
ね、いい響きでしょ?」
「でも、福川さんの家じゃん…」
苗字で呼ばれたことに
ちくりと胸が痛む。
「大丈夫だよ、
ここは広いし使ってない部屋もある。
…あ、でも名前を呼ぶときは
゛裕〝って呼んでね。」
少し悩んで、
自分には他に行くとこがないと
思ったのか大きく頷いて
「わかった。ありがとう、裕」
そして大きな笑顔を僕にくれた。