僕ときみの秘密な隠れ家
「そっか、じゃあ今度は僕の番だね」
深く詮索されなかったのに驚いたのか
彼女はぱっと顔を上げた
「ん?どうかした?」
「…ううん、なんでもない」
「そっか、あ、聞きたいことはなんでも聞いてね」
「…名前」
「福川 裕(フクカワユウ)」
「…年は」
「26歳」
「…」
「もういいの?」
「…うん」
もっと聞きたいことはないのだろうか
それとも僕に興味がないのだろうか
それはそれで、少し寂しい気もするが
「だって…
あたし何にも教えてないのに
あなたのことだけ聞くのはフェアじゃないから」
初めて僕の目を見て話したリン
それはこの僕が心臓を鳴らすほど
美しいものだった