大好きっ!!
それからの1週間桜音はなんだかぬけがらみたいに元気はなかった。
話しかけても無理やり笑顔を見せて。
やめろ、そんな顔すんな。
そう言いたかったけど、ダメだった。
みんなもうすうす気づいているようだった。
先生から「木田は転校する」という知らせがあった時も誰も何も言わなかった。
ただ、だまってうつむいている桜音のほうを心配そうにちらちらみているだった。
その日、俺たちは一緒に帰った。
「……その……最後だな」
「……」
桜音はなにを言っても一言も話さない。
「離れててもずっと恋人だからな?」
「……うん。」
「また、すぐ会えるよ。夏休みだって、冬休みだって。ほら、もうちょっとで冬休みだし!な?」
「……うん。」
俺の言葉に少しだけ嬉しそうな顔を見せた。
だが、次の瞬間微笑みは涙に変わった。
「桜……音……?」
「ごめんねっ……雄がこんなに心配してくれてるのに、何にも返事しなくてごめん……。引っ越しが決まった時からね、〝かわいそうなのはあたしだけ〟って思ってた。でもさ、あたしが引っ越すっていう事実を先生がみんなの前でいった時、みんな、何にも聞かずにそっとしといてくれたでしょ?ちょっと思ったの。〝なんでなにもいってくれないの?〟〝あたし、実は嫌われてた?〟」
「……」
俺は桜音の話にだまって耳を傾けていた。
「でもさ、それは違った。」
涙交じりの笑顔で桜音は続けた。
「みんな、あたしが泣いちゃいけないって思ってなにも聞かなかったんだよね。みんな何かあること気付いてたんだよね。あたし、ずっと暗かったもん。」
桜音はそこで涙をぬぐった。
「だからさ、あたしかわいそうなんかじゃないって分かったの。だから、もうくよくよしいないし泣かない!雄、こんなあたしだけど離れててもずっと恋人でいてくれますか?」
「あぁ!もちろんだろっ!」
「雄、大好きっ!!」
よかった。
ホントによかった。