大好きっ!!
今日は入学式だから当然帰るのも早い。

あたしの親は仕事一筋で家にも帰ってこない。

だから一人暮らしのようなもの。

ごくたまに朝起きるとお金が置いてあったりする。

こんなことをしてくれるのは父親だけ。

母親はあたしを捨てたようなものだから。

やだな、家。

あたしは一人が好きだけど、でもやっぱり寂しい。

どっか寄って帰ろう。

あ、そっか。

もう高校生だからびくびくしながら寄り道しなくてもいいのか。

堂々といつものお店による。

「いらっしゃぁーい!」

あたしが行くのはおしゃれなカフェとかじゃない。

食堂って感じの店。

ここの常連だから好きな料理を出してもらえる。

あたしのお母さんみたいなおばちゃん。

一番好きな料理はハンバーグ。

子供っぽいなんて思わないでね。

好きなんだからしょうがないじゃない。

「おばちゃーん、ハンバーグ☆」

「ハンバーグ1つ!」

数分後運ばれてきたハンバーグにはいつもは付いていないフライドポテトが付いていた。

「おばちゃん、こんなのあったっけ?」

「ふん、あんた今日から高校生だろ?お祝い♪ゆっくりたべていきな!!」

「おばちゃぁん……」

いきなりのことで泣きそうになる。

「泣くんじゃないよ!さっさとお食べ!」

ううぅ……(別の意味で泣けてきた)

ぱくっとおばちゃんのハンバーグを食べる。

やっぱりおばちゃんのハンバーグは最高!

じゅわっと肉汁が口の中に広がって……

フライドポテトもカリッと揚がってて申し分ない味。

「おいしぃぃ♪」

「ならよかった。ま、ゆっくりしてお行き。宿題でもやっちまいな」

その後店で1時間宿題をしてあたしは家に帰った。

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