大好きっ!!
家に帰るとあたしは真っ先にテレビをつける。

私のお母さんは実は今をときめく女優。

会えなくてもテレビを通せば会える。

お母さんは今、優しくて健気な母親役。

ドラマを見るあたしの眼にはお母さんが「ごめんね…」といいながら、

子役の子を抱きしめる姿が映る。

その瞬間あたしの眼に涙があふれた。

別にドラマに感動したわけじゃない。

抱きしめる子が、子役じゃなくてあたしだったらいいのに。

そんな切なさで胸がいっぱいになった。

「お母さん…」

一人で号泣しているとと玄関のチャイムが鳴った。

「えぇ、こんなときにっ…」

だって、今目は真っ赤だし腫れてるし、メイクも少し落ちてるし…

「木田さーん!!椎田ですけどぉー!」

えっ、椎田!?

椎田って地味男じゃん!

なにしに来たんだ?

「はぁーい」

がちゃっ。

「早くあけろよなー」

「ごめんねッ☆」

「あれ?泣いてたの…?」

バカっ、なんでそんなことに気づくのぉッ!?

「な、泣いてなんか…」

「心配なことあるなら俺に言えよ?」

「///!?」

「じゃ、そんなこんなで家にあがらせてもらう」

はっ?

「だめ!」

「だめ?なんで?」

「女子の部屋よ!」

「ってかお前もうちょっとぶりっ子じゃなかったっけ?」

「えっ!?」

あっ、忘れてたぁあ!あたしのバカバカー!!

「ま、いーじゃん♪」

ちょっとぉお…

「へーなかなかきれいにしてんじゃん?」

「う…」
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