愛恋
「ってか、名前聞いてなかったよね?」
「桂子です。折原」
「Keiko orihara?」
わざとらしく英語っぽく下の名前からあたしの名前を読み上げる。
「折原桂子です。」
苦笑しながら言い直す。
「ごめんごめん、っつか敬語やめない?年近いっしょ?」
右手を首に当てながら、彼は話をつなげた。
「中2です。」
この時何で嘘をついたかよく分からない。
年が近いと決め付けられた手前
「小6なんですよ」
なんて言えなかった。
言ったら離れられると思っていた。
どうでもいいはずの男の子のはずなのに、少し近づきたいと思っていたのかもしれない。
「俺、中3!!」
笑顔で自分を指差して言った。
「そうですか」
「敬語やめてよ~、同中でもないし先輩って感じしないっしょ?俺」
その男を改めてつま先から頭まで見た。
長身で、ぱっちりすぎない二重の目は魅力だと思った。
髪の毛はあの変な人みたいにセットっていうセットはしてなくて・・・
薄茶色の短髪は多分染めているのだろう。
爽やかな人だった。
はっきりいって、年上感はありまくり。