愛恋
「桂子!!起きてる?」
朝からお母さんのキンキン声が2階のあたしの部屋にまで響く。
「起きてるよー」
着慣れない、紺色のセーラー服の横ボタンを留めながら軽く返事をした。
4月8日朝。
あっという間の春休み。
宿題とかもないから、本当に同じような毎日の繰り返しで、特に出かけることも無く、でもこの日はやって来た。
入学式ー。
「早く朝ごはん食べちゃいな」
階段から降りてくると、お母さんは口早にそう言って、洗面所に化粧をしに行った。
昨日の夜ごはんの残りの、カボチャの煮物や、ひじき、鶏肉の炒め物をそれぞれ適当に食べてから、制服のリボンをいじくる。
中々上手く結べない…。