愛恋
先生の目が届かないところで
下半身を全部床につけ腕だけ曲げて
あたかも俺ちゃんと腕立てしてますよー
みたいな感じでへらへら友達と顔を見合わせ笑ってる男子。
見た瞬間気付いた。
あ、この人ヤンキーだって。
妙にその人が気になって腕立てが終わった後も
その人を目で追った。
長身ではない中くらいの背丈。
下げパン。
ボロボロに履きつぶした体育館シューズ。
やっぱり、ヤンキーだ。
それからそんなに明るくはないけど
完全に染めたと思われる焦げ茶色の短髪を
自然に立てている。
きりっとした目。
でもこの人、かっこいい。
名前を見ようと
たくさんの3年男子がもとの場所に整列しなおして
ばらばらに座るのを顔を動かしながら彼のぜっけんを見た。
「3-1・・・小野」
小さく声に出して読む。
ん?小野?小野!!!
祥ちゃんが言ってた人だ!!