愛恋
ごまかし
「おい折原~このプリント出してないのお前だけだよ?」
クラスメイトの藤森が昼休み国語のプリントをひらひらしながら話しかけてきた。
『あーごめん、明日出す!!』
「しょうがねーなぁ、俺が先生に上手いことごまかしてやるよ」
『まじごめん、ありがとう』
「おう、今度ジュース奢りな」
『いいよー』
入学式から2週間。
授業も本格的になってきた。
「けーいーこっ」
ソノが話しかけながらあたしの目の前の席に座った。
『ん?』
国語のプリントをしながら声だけで返事をする。
「桂子はさー、好きな人とか・・・いる?」
でた。
この年の女の子がする日常茶飯事のこと。
恋バナ。
『え?どうだろうね~』
プリントを解く手を止めソノを見る。
「いや、絶対いるでしょ!その顔は!!」
『どんな顔やねん』
ふっと笑ってまた手を動かす。
「そんな顔!」
はいはいと軽くあしらってごまかす。