夜の蝶たち~沙織~
目の前に広がったのは・・・


一言で言えば豪華!

革張りのソファーに真っ白のテーブル。

テーブルにはグラスが2つずつ置かれていて・・・

壁にはお酒がずらっと・・・

あたしも知ってる焼酎もあった。

天井にはちっちゃいけどシャンデリア・・・

もう別世界ってカンジ!

「さ、中に入って、こっちに座って」

そう言って案内されたのは、他とはちょっと隔離されたカンジに、レースのカーテンで仕切ってある空間だった。

「失礼します・・・」

「飲み物、ウーロン茶でいいかな?」

「はい・・・あ、すいません」

「いえいえ、ちょっと待っててね」

そう言って、1度下がっていった。

しばらくして戻ってきて、あたしの前に座った。

「はい、どうぞ」

そう言って、あたしの前に、グラスを置いた。

「ありがとうございます」

緊張してのどが渇いてたから、1口飲んだ。

「身分証、持ってきたかな?」

「あ、はい」

そう言って、かばんの中から保険証を出して、渡した。

「コピー1部もらいますね」

「はい」

「それと、これ。うちの店の履歴書です。分かる範囲でいいんで、書いててもらえるかな?」

そう言って、1枚の紙とボールペンを渡された。

「じゃあ、コピーとってきちゃうね」

そう言って、あたしの保険証を持って、また下がっていった。


履歴書・・・

え~っと、まずは名前、生年月日、歳・・・

干支?

あ~、歳ごまかさないように?

ウケる(笑)

あとは住所、家族構成、最終学歴、職歴。

干支以外は、普通の履歴書だね。

「書けたかな?」

「あ、はい」

「はい。保険証、返すね」

保険証を受け取って、かばんにしまった。
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