夜の蝶たち~沙織~
また、向かいの席に座って、あたしの書いた履歴書を見る。

「じゃあ、改めて、店長の三沢です。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「面接を始めさせてもらいますね。緊張しないで大丈夫ですからね」

「はい」

「じゃあ確認から。まずは年齢なんだけど、18歳で間違いないね?」

「はい。誕生日が過ぎたんで18歳です」

「キャバクラとかの夜のお仕事って、法律で厳しく決まっていて、18歳未満の子を雇うと、女の子ももちろんだけど、お店も捕まっちゃうんですよ」

「あ、そうなんですか。だから18歳以上なんですね」

普通のバイトって高校生以上なら、夜10時までなら働けるじゃない?

でもキャバクラって、必ず18歳以上って書いてあって、お酒を飲む仕事だからかなって思ったんだけど、それなら20歳以上だし・・・

なんでかなって思ってたんだ~。

納得!

「誕生日、きたばっかりだね。ってことはキャバクラははじめてかな?」

「はい。そうです」

「お酒の作り方からちゃんと教えるから、心配しないね」

「ありがとうございます」

「まずはキャバクラのお仕事なんだけど、基本的には、お酒を作って、お話しするだけだから。うちはお触りも禁止だから、触られそうになったら断っていいからね」

「はい」

「次に、お給料のシステムなんだけど、うちはポイント制って言って、指名の数でお給料が決まります」

「指名?」

「あ、ごめんね。指名って言うのは、お客さんが女の子を気に入って、お金を払って、ずっと席に付いてもらうことね。うちでは1時間に2千円もらってます」

「はい」

「1時間に1ポイントの計算で、半月で1期って言うんだけど、1期ごとのポイント数で、この表みたいに時給が変わっていきます」

そう言って、1枚の紙を出した。

1800円からスタートして、10ポイントごとに100円ずつ上がっていく。

時給1800円か・・・

思ってたほど、よくないんだね・・・


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