203

















「ちょ、おい冗談だよ、泣くんじゃねぇ」





気がつくと大粒の涙がこぼれ落ちていた。



嶋朋美の長い手が私の顔にのびる。


そのまま片手で両方のほっぺを挟まれ、
顔を無理やりあげさせられた。




「鼻水までたらしてきったねぇな」


そう言いながら嶋朋美は袖でやや乱暴に、

涙と鼻水をゴシゴシ拭い始めた。






私のぼやけた視界にはちょっと慌てたような、困った顔の嶋朋美が写っていた。




< 44 / 57 >

この作品をシェア

pagetop