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「あぁもう、悪かったよ。冗談がすぎた…」
「なんつーかお前はちょっとどんくさい妹みたいでさ…」
ブツブツつぶやきながら涙を拭う手が徐々に優しくなってゆく。
「…どんくさくて悪かったですね」
私は唇をとんがらせてみせた。
ちょっと彼を困らせてやってみたかったのだ。
しかし
「うわ、不細工なカオ」
とまぁ、うまくいくはずもなくまた笑われて、
「そんだけ憎まれ口たたけんなら大丈夫だな」
ポンポン
と私の頭に軽くふれる嶋朋美。
そのまま彼は椅子から立ち上がると、
「んじゃ俺用事あるから帰るわ。碧によろしくな」
そう言うと、ゆっくりと部屋から出ていった。